2018年3月29日。都内唯一のあんこう鍋専門店「いせ源」さんを訪問し、お鍋を食べる前に吊るし切りの見学会に参加させていただきました♪
参加した企画は「☆★☆ 春休み企画 「あんこう吊るし切り見学会」のご案内(3/26月~3/30金)☆★☆」。
この見学会で届いたあんこうの七つ道具への捌き方の手順と流れを知ることができたのでご紹介します。
いせ源さんの詳しい紹介&あんこう鍋コースのご紹介はこちらの記事をご覧くださいませ。
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なお以降では、あんこうの解体作業について記述しています。あんこうならびにその内臓など、グロテスクな画像が多数含まれているので、ご承知おきの上ご覧ください。
吊るし切り場
いせ源さんの玄関をくぐるとすぐ目の前に厨への入り口、階段、会計場がありますが、左手の厨房入ってすぐのところがあんこうの吊るし切りをするところとなっています。
あんこうをさばくのは1人だけなのか場所的にはそれほど広いスペースではありません。
というか効率的に作業ができるように配置されています。
下の画像の天井からぶら下がっているかぎ針があんこうを吊るすところ。
アップで。
今回のあんこう
発泡スチロールの箱の一つを取り出してフタを開けるとあんこうがドーン。
かなりの大きさで迫力があります。これで15kgぐらいのものだとのこと。
水揚げされてすぐに〆て胃の内容物などを取り出したものが出回る形となります。
このあんこうはキアンコウ。
オスは2kgぐらいにしかならず、大きくなるのはメスだけ。
オスも食べなくもないらしいですが、肝が小さく、精巣は美味しくないらしいです。
なので基本的に食べるのはメスだけとのこと。
いせ源さんで仕入れるのは6kg〜15kgぐらいの身と肝のバランスが良いものだそう。
旬=肝が美味しいのはやはり冬から春にかけて。夏になると産卵して身が細ってしまうそうです。
あんこうにはウロコはなく、危険を察知するとヌメリを出してツルッと滑らせることで身を守ります。
あんこうの食料はあじ、いわし、いかなどでマルっと口に含んで表と奥の2つの歯でバリバリ食べちゃうそう。
小さいときには共食いもしちゃうほどの肉食系。
産地
あんこうは北海道から九州まで幅広く捕れる魚ですが、今回のあんこうは青森県の下北半島の先、風間浦沖で捕れたもの。
だいたい100mぐらいのところに生息し、刺し網漁と呼ばれる粗めの網に引っ掛ける方法で捕られるそう。
ちゃんと捕った船名まで書かれたブランド品です。
あんこうは〆てから2〜3日したものが美味しいとのことで、今回捌いたものも2日前のものでした。
吊るし切りで七つ道具に切り分ける
あんこうは食べるために七つ道具と呼ばれる部位に切り分けられます。
まずあんこうをかぎ針に吊るします。
尻尾が曲がっているのは死後硬直の影響だそうです。
肝(七つ道具その1)
まずは肝。
ザクザクと切り分けられていきます。あんこうの肝は全重量の10%にもなるそうです。
ヒトの肝臓は2%だそうなのでかなりの割合を占めていることがわかります。
まさにあん肝!だけどこんなに大きいあん肝は見たことない!!
血合いがあるので、七つ道具に切り分けた後、ちゃんと血合いを取る作業をするそうです。
胃袋(七つ道具その2)
次は胃袋。内容物のほとんどは捕った後にすぐ出されてしまうそうですが、胃袋自体は大切な部位です。
卵巣(七つ道具その3)
メスなので卵巣がかなりのポリュームがあります。
一匹で150万個もの卵を抱えるそうで、重いものはその分卵巣が大きく重くなっているとのこと。
一番卵を抱えたときには長さが5倍、重さが20倍にもなるそうです。
見えますかね…指が透けて見えますが、その白いつぶつぶ
ヒレ(七つ道具その4)
内臓系をざっくり取り出したので続いて身の方を。
ヒレの部分だけを切り分けます。
かなりグロいですね…
皮(七つ道具その5の1)
ヒレが取れたところでヌメヌメの皮を剥ぎ取ります。
ピッピッと切れ目を入れて
うまく包丁を当てながら、、、
かなりの力を入れて皮を剥ぎます。
グロいですねー。でもうまく包丁を入れるとベローンと一枚の大きな皮として剥ぐことができます。
グイグイ。
尻尾までメリメリっと、、、
最後はスルン。と。
剥がれた皮。ヌルヌルなので湯がいてから料理として使うそうです。
骨・心臓(七つ道具その5の2)
皮を剥ぐとなんだかよくわからない物体になってきました。
あんこうは骨と水分が多い魚なので骨を切り分けます。
心臓を取り出します。
心臓も重要な部位の一つです。感謝していただきます♪
この後も大きな骨の部分、人間で言うと肋骨の部分を切り分けていきます。
ザクザク。
ズバズバ。
大身(七つ道具その6)
骨を取り去るとなんかちょっと寂しい形になってしまいました。
人間で言う背骨の部分についているのが肉。大身(おおみ)と呼ばれます。
丁寧に包丁を入れて骨と大身を切り離します。
片側を切り離したところ。
骨の両側に大身はあるので反対側も丁寧に切り離します。
大身というだけあってこちらもかなりのポリューム。
背骨・顔面(七つ道具7)
最後に背骨と顔面を包丁をズバッと入れて切り離します。
顔面だけをひょいとつまんで…
七つ道具のトレイに。顔面も重要な食材の1つです。実際には顔面の頬ぽね肉が料理に使われるとのこと。
7つ道具
左上から顔面(その7)、皮と心臓(その5)、卵巣(その3)、肝(その1)。
左下から大身(その6)、ヒレ(その4)、胃袋(その2)となります。(カッコ内は前述の七つ道具の番号)
さいごに
七つ道具に切り分けられた後、更に丁寧に処理され、調理されて、あんこう鍋、あんこう料理として提供されます。
本当の骨以外はほとんど料理に使われるあんこう。感謝しながらいただくしかありません。
あんこうは養殖できないため漁で執るしか方法がありません。
15kgのあんこうでおおよそ30人前分の量になるとのこと。
冬の時期には毎日100kgものあんこうが使われるそうです。
一番良いあんこうは2月〜3月に手に入るそうなので、より良いものを。というこだわり派の方はその時期に。
実際の料理となった姿は食事編の記事を参照ください。
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説明を受けながら実際にさばいていただいたのが30分。いい経験をさせていただきました。
いせ源の立川(タチカワ)さん、ありがとうございました!!
では、今回はこの辺で。